
2024年から新NISA制度がスタートし、旧NISA(一般NISA・つみたてNISA)で投資していた商品をどうすべきか迷っている人もいるのではなかろうか。というか、存在をすっかり忘れてて、気付いたら今年が5年目だったとかないだろうか。実はわしがそのパターンで、今年その非課税期間が終わってしまう銘柄がいくつかあるのに気がついた。
そこで、シンプルに「含み益のある株や投資信託を今のうちに一度売って、新NISAで買い直すべきか?」という疑問が湧いた。
今回はその判断材料に加え、旧NISAがどういう制度だったのか、そして非課税期間終了後に何が起こるのかについておさらいしたい。
旧NISA制度の基本
旧NISAは、少額投資の非課税制度として2014年に導入された。
投資による売却益や分配金が一定期間、非課税になるというメリットがある。
種類 | 年間投資枠 | 非課税期間 |
---|---|---|
一般NISA | 年間120万円 | 最長5年 |
つみたてNISA | 年間40万円 | 最長20年 |
ただし、2023年をもってこの旧制度での新規投資受付は終了。
5年経過後に何が起きるのか?
旧NISAの非課税期間が終了した商品については、以下のいずれかになる:
- 課税口座(特定口座または一般口座)に移管される
→ その時点の時価が「新しい取得価格」となり、その後の値上がり益には課税される。 - (2015~2023年枠までは)ロールオーバー可能だったが、すでに新規受付終了のため、今後は不可
つまり、非課税期間が終わると、その後の運用は通常の課税対象になるという点が大きなデメリットとなる。
利益確定のメリット
旧NISAで含み益が出ている商品は、非課税のうちに売却することで、完全に税金ゼロで利益を確定できる。
たとえば、10万円の値上がり益がある商品を旧NISAで売れば、約2万円の税金がかからずにそのまま手元に残り、その資金を使って、2024年から始まった新NISAの非課税枠(最大360万円/年)で再投資すれば、今後の利益も再び非課税で運用できるのである。
新NISAの特徴と相性
新NISAは、以下のような強力な特徴がある:
- 非課税期間は無期限
- 年間最大360万円の投資枠(つみたて投資枠+成長投資枠)
- 保有商品に制限が少なく、幅広い投信に投資可能
旧NISAよりもはるかに長期・柔軟な資産形成に適しているため、「旧NISAで得た含み益を確定→新NISAで再投資」という流れは非常に理にかなっていることになる。
注意点:買い直し時のリスク
ただし、一度売ってから買い直す場合には以下のリスクも理解しておく必要がある:
- 売ったあとに価格が上昇して、再購入時に割高になる可能性
- 新NISAの年間枠を使ってしまうため、他の投資に使える枠が減る
- 相場の急変動があると、売却→再購入のタイミングで損することも
あくまで投資判断は「非課税」という制度面だけでなく、市場環境や自分のリスク許容度も考慮して行う必要がある。
含み損がある場合は?
逆に、旧NISAで含み損が出ている商品については、そのまま非課税期間終了まで保有してしまうと、移管時点の価格が新たな取得価格となり、将来の値上がり益に課税されてしまう。
そのため、含み損のうちに売って、課税リスクを回避するのも一つの選択肢となる。
まとめ:売って買い直すのは「非課税の延長戦略」
旧NISAで含み益がある場合、「今のうちに非課税で売却し、新NISAで買い直す」という判断は、制度の特性をうまく活用した有効な戦略。
ただし、再購入時の価格変動や投資枠の使い方には注意が必要なのである。