【戦争の記憶と神戸の空襲跡】

──三宮に残る歴史の証言とこれからの課題

📝 この記事のポイント

JR三ノ宮駅の中央口と西口をつなぐ高架橋にある鉄橋の「穴」。これが何かご存じでしょうか？

実はこれ、太平洋戦争中に行われた機銃掃射の痕跡です。三宮エリアには他にも、阪急三宮駅の屋根の鉄骨や、各所に散見される弾痕など、戦争の爪痕がいまも存在しています。

神戸市内だけでなく、こうした遺構は日本全国に点在しており、かつての戦争が「遠い国の話」ではなかったことを物語っています。

太平洋戦争末期、アメリカ軍による空爆や機銃掃射で、日本各地の都市が被害を受けました。神戸もそのひとつです。

当時、非戦闘員である民間人に対しても無差別に爆撃や機銃掃射が行われたことは、国際法的にも議論の余地があります。

確かに日本は戦争を始めた立場でしたが、だからといって市民への空爆や原爆投下といった行為が「正義」だったかは、現代の視点からも再考されるべきでしょう。

戦後の教育では「戦争を起こした日本がすべて悪かった」という形で、敗戦責任が語られることが多くありました。

しかし、広島・長崎への原爆投下を含め、戦争終結の手段としての大量破壊兵器の使用や、都市空襲の正当化については、アメリカ側の倫理的責任も議論されるべきです。

「戦争に正義はない」──この視点を忘れずに、加害・被害の両面から歴史を学ぶ必要があります。

現在、戦争の体験者は年々減少しており、「戦争を知らない世代」が政治や経済を動かす時代に突入しています。

だからこそ、都市に残る目に見える戦争の痕跡を「教材」として活用し、過去の事実に触れる機会を作ることが大切です。

神戸・三宮の鉄橋の穴も、そのひとつです。

過去の過ちを責め合うのではなく、未来の戦争を防ぐために何を学び、どう伝えていくかが問われています。

神戸の街に残された鉄橋の機銃掃射跡は、決して「昔のこと」ではなく、今も私たちに語りかけています。

「戦争の痕跡が、都市に残っている」

この現実に気づいたとき、私たちはようやく「平和とは何か」を考えることができます。

歴史は教科書だけで学ぶものではありません。現場に足を運び、リアルな痕跡に触れることが、何よりの学びになるはずです。