
もし自分自身ががんになったら?
日本では、生涯のうちにがんと診断される人は2人に1人、がんで死亡する人は3人に1人と推計されています。
あなたががんでなくても、親族、友人、知人、つまり身近な人の中に必ず1人は存在しています。
かくいう私自身も、2015年に肛門管癌になりました。トイレで血がつくようになり、病院で見てもらったところ、痔ではなく腫瘍があると診断されました。
私の場合はヒルシュスプルングという持病もあり、トイレの回数が多かったという特殊な事情がありますが、「がん」は「がん」です。36歳という年齢での告知に正直驚きました。
「え?がんなんてもうなるもんなの?」と思ったものです。
これを読んでいる人の中で、身近な人が過去にがんになっている、がんで亡くしているという人も多いと思います。
「もし自分自身ががんになったら?」
今回はその中で、自分自身ががんになってしまった時、どうするのが一番良いか、実際にがんになった私の経験を踏まえて、皆さんに情報共有ができればと思います。
がんは情報戦である
まず、「がん」と診断されたとき、多くの人は大きなショックを受けます。世の中には、がんで亡くなった有名人のニュースが多く、前述の通り、あなたの身近な人もがんで亡くなっているかもしれません。発見の時期や症状の軽重に関係なく、多くの人の頭に「死」という言葉がよぎることでしょう。それほど、がんという病気は簡単に受け止められるものではありません。
「自分の症状はどれほど深刻なのか」「どんな治療が最適なのか」「どれくらい長く生きられるのか」——そうした体に関する疑問が湧くだけでなく、「生活習慣に何か問題があったのではないか」「これは天罰なのか」と、自分の過去の行動を責めてしまうこともあるでしょう。
そうした考えに至る前に、「そんなはずはない!なにかの間違いでは?!」と、まず“否認”の段階を経験する人も少なくありません。
「がん=死」というイメージが強く根付いているからこそ、心が乱れるのは当然のことです。
しかし、その**心の隙**につけ込むように、さまざまな誤った情報が入り込んでくることがあります。
「どうすれば助かるのか?」という情報を求めてネットを調べると、そこには実にさまざまな“見解”があふれています。
たとえば、「◯◯療法」と呼ばれる保険適用外の治療法、「◯◯を食べたらがんが消えた」といった食品にまつわる話、「前世の浄化で治った」とするスピリチュアルな主張など、どれも“成功体験”のようなエピソードが並んでいます。そのため、「自分もこれで治るのでは?」という気持ちになってしまうのも無理はありません。
希望と不安が入り混じるなかで、そういった情報に心を動かされるのは、ごく自然なことです。
——何を隠そう、私自身もそうした経験をしてきました。
特に、抗がん剤に対しては今も根強いネガティブなイメージがあります。「副作用がつらい」といった話を耳にすることも多く、手術に対する恐怖も当然あるでしょう。そういったマイナスの印象から逃れたい、という気持ちは否定できません。
次回は、「我々が本当に選ぶべき治療」とは何か、その情報を一緒に冷静に見極めていきましょう。