
自分が「がん」になったとき、それを周囲に伝えるべきか?
自分が「がん」になったとき、それを周囲に伝えるかどうかは、非常に悩ましい問題です。
少なくとも職場には必ず伝える必要があります。
キャリアに不利になるのでは?
不当な扱いを受けるのでは?
迷惑をかけるのでは?
――そんな不安が次々と湧いてくるのは当然のことです。ですが、シフトの調整や休職期間、傷病手当の手続きなどを考えれば、職場への公表は避けて通れません。
職場に伝えることが最低限のラインだとすると、次に悩むのは「同僚・友人・知人に話すかどうか」です。
これはあくまで私の考えですが――
「公表したほうが良いと思います」
公表することで得られる“生の情報”
がんには様々なパターンがあります。
発生部位、ステージ、治療法、家庭環境、仕事……人によって組み合わせは無限です。
ネットには膨大な情報があふれていますが、大事なのは「自分で納得して選択すること」です。
最終的にどういう結果になったとしても、後悔しない選択ができるのが理想です。
そのためには、顔の見える相手、つまり実際に経験した人から話を聞くことがとても有効です。

前の記事にも書きましたが、がんは2人に1人がなる病気。
私が36歳でがんになったことを打ち明けたところ、意外にも「実は自分も」と教えてくれた人が4人もいました。いずれも30〜40代の友人です。
- 2人が大腸がん
- 1人が乳がん
- 1人が子宮頸がん
といった具合に、私が打ち明けたことをきっかけに話してくれたのです。それほどがんは身近な病気であることに改めて驚きました。
そんながんの先輩たちに、
「検査ってどんな感じだった?」
「手術は痛かった?」
「抗がん剤、やっぱりキツい?」
といったことを“生の声”で直接聞けるのは本当に心強いです。
嘘のないリアルな言葉で得た情報は、気持ちを落ち着けるのにも大きく役立ちます。
職場にも、実はがん経験者がいるかもしれません。中には、上司や役員がそうだったというケースもあるでしょう。
「がん」であることを公表することで生じるデメリット
とはいえ、公表することによるデメリットもあります。それは、
- 宗教の話をしてくる人
- 怪しい民間療法を勧めてくる人
- サプリや食品などを押し売りしてくる人
こうした人たちが現れる可能性があるということです。
しかも、たいていは「良かれと思って」勧めてくるので、タチが悪い。
人が良いと断りづらいこともあるでしょう。そんなときは、こう伝えるのが良いと思います:
「既に信じている宗教があるので、すみません」
「主治医に確認してみるので、今は何もしないでください」
それでもしつこく誘ってきたり、逆ギレしてくる人がいたら――
その人とは縁を切るべきです。
なぜなら、そういう人はあなたの人生に責任を持てないし、持つ気もないからです。
総括:やはり公表は「武器」になる
確かに、一部の厄介な人との関わりがデメリットにはなります。
しかし、それ以上に「経験者からのリアルな情報」や「仲間の存在」は、あなたに大きな安心を与えてくれます。
不安を和らげ、冷静な判断をするためにも――
自分ががんであることを公表するのは、心強い手段になると思います。