
標準治療とはなにか
自分に合うがん治療を考えるにあたって、まず理解しておきたいのが「標準治療」という考え方です。
これは私の個人的な意見ですが、「標準」という言葉、なんとかならないものでしょうか。たとえば「最適解治療」とか、もっと前向きな言い換えがあっても良い気がしています。
というのも、この「標準」という言葉から「普通」「ありきたり」といったイメージを持たれやすく、誤解が生まれることがあるからです。
標準治療とは、科学的根拠(エビデンス:あるテーマに関する試験や調査などの研究結果から導かれた、科学的な裏付け)に基づいた観点で、現在利用できる「最良の治療」であることが示され、多くの患者に行われることが推奨される治療のことをいいます。
国立がん研究センター がん情報サービス
つまり以下のようなものをもとにして決められています:
✔ たくさんの臨床試験や研究の結果
✔ 世界中の専門医の知見
✔ 国や医療機関の専門ガイドライン
このような背景から導き出された「多くの患者さんにとって最も効果がある」と認められた治療、それが「標準治療」です。
そしてここで大事なのが、「標準=普通・平均的」という意味ではないということ。誤解しやすい言葉ですが、「最善の治療」であるという認識を持ったうえで、自分のこの先を考えていけばいいと思います。
標準治療の3本柱
がんの種類や進行度によって組み合わせ方は異なりますが、以下の3つが基本になります。
① 手術(外科治療)
がんを物理的に取り除く治療。初期のがんでは完治を目指せることも多い。
② 放射線治療
がん細胞をピンポイントで破壊する。手術の代わりや、手術の前後に補助的に使うことも。
③ 薬物療法(抗がん剤・分子標的薬・免疫療法など)
体内を巡る薬で、がん細胞の増殖を抑える。進行がんや転移がある場合に使われることが多い。

なぜ標準治療が選ばれるのか
標準治療は、次のようなプロセスを経て「もっとも多くの人が助かっている方法」として採用されています。
- 数千人~数万人単位のデータに基づいている
- 安全性・効果・副作用すべてを比較検証されている
- 国立がん研究センターや世界保健機関(WHO)などが推奨
たしかに、「手術が怖い」「抗がん剤は副作用が強い」「製薬会社の陰謀では?」というような不安や疑念が生まれるのも当然です。それだけ「がん」は恐ろしい存在なのです。
だからこそ、正確な情報収集が重要になるのです。
主治医が教えた本音
実は私自身、ある「◯◯療法」が気になったことがありました。ちょうどそのクリニックに、私の主治医(大学病院の先生)が名前を載せていたのです。
「本人に聞くのが一番だ」と思い、回診の際に思いきって質問しました。「先生、この◯◯療法って実際どうなんですか?」
すると先生はこう答えました。
「あれは、いろいろ手を尽くした人が、最後の手段としてやるものだよ」
その言葉を聞いて、私が事前に勉強していた「標準治療」の意味が、より深く腑に落ちた瞬間でした。
関係者の生の声ほど信頼できるソースはありませんね。
私は◯◯療法を完全に否定するつもりはありません。ただ、冷静に「助かる確率」と「治療を行うタイミング」を考えたとき、まず優先すべきは標準治療であるという考えに、今も変わりはありません。